遠くに住んでいるので故郷のお墓を何とかしたい。
自分はともかく子供たちにお墓のことで頭を悩ませたくない。
自分の骨は海に流してもらいたいが現存する先祖代々の墓をどうしたらいいのだろう。
法律が変わって家制度と呼ばれるものは薄くなったはずの戦後においても、お墓にまつわる悩みはいよいよ深刻化しかつ顕在化しているようです。
本記事では、曹洞宗の家で長男として生まれ育ったタンフーが5年前に故郷で行った墓仕舞いについて、これを滞りなく行うために必要な経験上得ることのできたポイントをお伝えしていきたいと思います。
個人の感想・体験に基づいたものですので、そんな罰当たりなこととお思いの方は、以下スルーしていただきますようお願いいたします。
墓仕舞いって何だろう。なぜ躊躇するのだろう。
墓仕舞いとは、墓という物体を無くし、それに代わる供養の方法を確立することです。
ここでいう墓とは定期的な法事を主催する者が「家族」である物を指しており、そういう意味からいわゆる納骨堂も墓に含めて考えています。
逆に永代供養塔は「お寺のご住職様」が法事を主催していくことから、墓とは別の物として捉えています。
すなわち、タンフーの行った墓仕舞いは、「墓を仕舞って永代供養の手続きを行ったこと」を意味しています。
墓という物体を無くしてよしとするものでは決してないことをまずご理解ください。
様々な理由で墓仕舞いを検討するわけですが、タンフー位の年代の人はいざ実行するとなると躊躇してしまうことだと思います。
これは一言で言うと、とんでもなく不遜なことをしようとしているのかもしれないという畏れの感情が沸き上がるからなんでしょう。
小さい頃からごく自然にお墓参りや法事と間近に接してきた方ほど強い感情かと思います。
墓仕舞いで絶対に忘れてはならないもの
ここで絶対に忘れてはならないと胸に刻んでいたのは、ご先祖様に対する尊崇の念です。
今の自分があるのは、ご先祖様がいらっしゃったからです。
墓仕舞いをしようがしまいが、そこだけは絶対に忘れてなるものかと誓っておりました。
墓仕舞いの実行を決心した後に行ったこと
先ずは必要性についての合意形成です。
合意形成すべき相手は親族の皆さま全員です。
なにゆえに墓仕舞いをしてご先祖様に永代供養塔に入っていただき、定期的な法事をご住職様の手に委ねなければならないのか、その必要性を言葉を尽くして説明して回りました。
幸いなことにタンフーの親族に反対する方はいませんでした。
ありがたいことです。
もし仮に反対の方がいたとしても、間違っても、これが今後の争いの元となったりすることなどないよう注意したでしょう。
時間をかけて、誠意を尽くし、直接会ったり電話したりして取り組みました。
親族一同の合意に至れば、道は半ばを越えたといってよいでしょう。
まずは、ご住職様に親族一同の一致した希望である旨を伝えるとともに、永代供養塔の契約を行いました。
そして石屋さんを紹介してもらいました。
石屋さんは墓石を物理的に扱うエキスパートで、墓仕舞いにあたっての重要な役割を担ってくださいます。
お寺さんにはお付き合いのある懇意の石屋さんがたいていいらっしゃるようですので、それぞれご住職様の紹介を受けるのが最適と思います。
その後行った手順を一例として記述します。
①各段階を実行するための日程調整、出席者の調整等を行う
②お墓の魂をご住職様のお祈りによって抜いていただく
③お墓の中にある遺骨を石屋さんが取り出し永代供養塔に安置していただく
④遺骨が多すぎて永代供養塔に収まりきれない場合は、ご住職様により分祀の手配と分祀の際のお祈りをしていただく
⑤永代供養塔においてご住職様に入魂のお祈りをしていただく
⑥魂の抜けた墓石等を石屋さんにより撤収していただく
⑦お墓跡地の処置として譲渡、売却あるいは返納を行う
墓仕舞いを行って得られた効果
なによりも心の安寧が得られました。
それはご先祖様に対する永代にわたる尊崇の念継承が保証されたことに対する安心感です。
お墓があった時も、清掃やお墓参り、あるいは法事で礼を失してしまったことが何度もありましたが、もうそのような心配をすることはありません。
また、遠い地を基盤に活動する子供たちに、タンフーと同様の悩みを抱かせないことに対する安心もありました。
墓仕舞いにかかった費用
約400万円です。亡父の資産より支払いました。
最も高額だったのは永代供養塔の権利購入費用です。
亡父、健在する母そしてご先祖様分として三区画。
一区画100万円ですので、計300万円です。
実は永代供養の期間は、お寺さんによって長短があり、それが権利購入費用の高低に影響を与えるようです。
タンフー家のお寺さんは「お寺が続く限り供養させていただきます。」とご住職が言ってくださるように、まさしく永代なのですが、10年・15年・30年程度で合祀されるお寺も多いと聞いています。
そこは心の安寧とのバランス部分であり、何年じゃなければならないという基準はありません。
その他、石屋さんへの支払いは約65万円でした。
撤収すべき墓石等が7基あったので、少々高額になったかと思います。
お寺さんへのお布施、関連諸経費が残り分です。
仏壇仕舞いと位牌仕舞いもあわせて実行しましょう
実家には大きく立派な仏壇が、そしてお寺さん本堂には先祖代々の繰出し位牌、祖父母の位牌、亡くなったばかりの父の白位牌がありました。
これをいろいろと考えたり相談した結果、仏壇は3年前に亡くなった叔父宅に譲渡し、各種位牌は「過去帳」という掌サイズのノートブックに集約してタンフーが自宅で保管し、代々継承する手はずを整えました。
位牌の全てはご住職様に魂を抜いていただきた後、お焚き上げをしていただきました。
実際のやり方は、別ブログにて後日記述したいと思います。
次は自分達の永代供養手続きだ
父母までの墓仕舞い(永代供養)が完了したら、次は自分・家内、子供たちはどうするのかを考えなければなりません。
ご先祖様の墓仕舞いとともに明らかにしておくことが最良であるとは思っていましたが、故郷と離れた地域を基盤として活動しているという都合上、検討が後回しになっていたのです。
ただ、自ら永代供養の準備を整えることについての合意は既にできていますので、さほどの心配はしていません。
細部はこれも別ブログにて後ほど記述してまいります。
どうかご安心ください
本記事を読まれる方は、実家にあるお墓の扱いについて悩みに悩んでいる方だと拝察しています。
どうぞご安心ください。
それぞれのご家庭の状況に応じて細かいやり方は変わってきますが、ご先祖様に対する尊崇の念だけは忘れずに進めていけば、必ずゴールにたどり着くことができるでしょう。
この際、ネットで検索して得られる知識ももちろん大事ですが、ご住職様や石屋さん、仏壇具販売店さんを通じて得られる知識が、大変参考になったことを最後に付け加えておきます。
どうかそれぞれの責任を果たし、心の安寧を獲得する日が訪れますようご祈念申し上げます。
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